4.教育双六・教育絵図

 江戸から明治にかけて子どもの遊びとしての「双六」が一般的になってきたが、その中には、教育的な内容を持つものもあった。そのような教育双六は、教育錦絵と同様、家庭教育用に使われ、児童が習得すべき小学課程のありさまや、単語・事象を遊びながら学べるようにしたものであった。
 それに対し、学校教育の現場で使われたものは単語図等の掛図である。掛図は、軸装されたものなどを壁に掛けて、図を指し示しながら授業に使われた。明治6年に東京師範学校では、米国の初等教育に用いられていた各種のchartを模して五十音図、単語図、連語図等、28枚の掛図を作成した。これらは、各府県で翻刻され、全国各地の小学校で広く利用されるようになった。それまでの寺子屋教育とは異なり、近代教育方法の特徴である一斉授業が行なわれ、掛図は大いに活用された。その様子は当時の錦絵にも描かれている。学校教育は文明開化の風俗に欠かせない場面であった。


4-1「小学教授双六」(錦絵9枚)軸装(ヘ950-202) 所蔵情報
4-2「教訓女宝寿語六」(明治18年) 所蔵情報
4-3「東京華族学校学習院宴会図」(錦絵3枚、明治10年)「小学人種雙六」(宮へ950-198) 所蔵情報
4-4「学校技芸寿語禄」(錦絵6枚、明治20年)軸装(ヘ950-211) 所蔵情報
4-5「男子教訓勉励双録」(錦絵4枚、明治24年)「女礼式教育寿語録」(錦絵4枚、明治21年)軸装(ヘ950-213) 所蔵情報
4-6「小学校体育双六」(明治33年) 所蔵情報
4-7「児學教導単語之図」(錦絵9枚、明治初期)軸装 (宮ヘ950-203) 所蔵情報
4-8「学校生徒体操之図」(錦絵3枚、明治19年)「小学唱歌の略図」(錦絵3枚、明治20年)「小学教授之図」(錦絵3枚、明治9年)軸装(宮ヘ950-212) 所蔵情報
4-9「教育必用幻灯振分双六」(大判錦絵6枚 明治22年)軸装 (ヘ950-宮215) 所蔵情報

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Last updated: 2009/07/16