教員著作紹介コメント(吉田右子先生)

吉田右子先生(図書館情報メディア研究科)より、ご著書の紹介コメントをいただきました。
【本の情報】
『デンマークのにぎやかな公共図書館 : 平等・共有・セルフヘルプを実現する場所』吉田右子著.新評論 , 2010.11【分類016.23-Y86】

【コメント】
 二月の寒い日、人びとが次々にやって来て思い思いの場所でくつろいでいる。ある人は発売されたばかりの雑誌を読み、ある人はお気に入りの作家の本にどうやら夢中になっているようだ。編み物をしている人がいると思えば、ゲームをしている人もいる。
 目を移すと、ある所では、新米パパらしき人が子育てのコツについて講義を受けているし、また別の所では、NPOのリーダーと市民が額をつきあわせて地域の問題を話し合っている。弁護士に法律相談をしている人もいれば、市の職員に対して税金の質問をしている人もいる。こんな光景が見られる所、そう、ここはデンマークの公共図書館である。(本文より抜粋)

 みなさんは福祉の世界で有名なデンマークが、図書館サービスにおいて世界でもトップレベルにあるということをご存知ですか?本書では、私が実際に訪ねた個性的な図書館を通して、北欧公共図書館の豊かな世界にみなさんをご案内します。北欧は、一貫して格差のない平等な社会の確立を社会政策の中心課題として掲げてきました。その中にあって公共図書館は、情報への平等なアクセスを確保することによって、情報にかかわるギャップを埋める機関として社会的に認知され、生涯学習の拠点として住民から高い信頼を得ています。北欧では幼いころから保護者に連れられて公共図書館に行き、生涯にわたって図書館を利用します。本書では様々な角度から北欧公共図書館の魅力を浮き彫りすると同時に、公共図書館の成熟に平等・共有・セルフヘルプといった北欧社会の理念が密接に結びついていることを明らかにしました。

 人は誰しも一冊の本を通じて自分と社会を変えていく力を持っています。厳しい吹雪のなかでも移動図書館バスを走らせ、フィヨルドの奥地まで図書館船を運航してきたのは、北欧の図書館員が皆、本の持つ可能性を信じているからです。本書がみなさんにとって、図書館の魅力を<再発見>するきっかけになったとしたら、大変うれしいです。そして北欧に旅したときには、図書館に行こう!

掲載ページ:筑波大学教員著作の紹介(2010年度)


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