Monthly Archives: 2月 2017

教員著作紹介コメント(礒田 正美先生)

礒田 正美先生(人間系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。

【本の情報】
『数学的思考 : 人間の心と学び』David Tall著, 礒田正美・岸本忠之監訳.岸本忠之,添田佳伸,木根主税,渡邊耕二,小原豊,真野祐輔,北島茂樹,馬場卓也,布川和彦,溝口達也,植野義明,新木伸次,中和 渚,白石和夫,佐伯昭彦訳.東京: 共立出版.【分類410-Ta75】

【コメント】
本書の原著は、David Tall (2013). How Human Learn to Think Mathematically: Exploring the three worlds of mathematics. Cambridge University Pressであり、原題の直訳は「人はいかに数学的に考えることを学ぶか: 数学三世界の探検」である。原著裏表紙には礒田を含む3者による次のような推薦文がある。
——————————————————————————————————————————-
本書は、数学的思考とアイデアの発達にかかる30年に及ぶDavid Tall氏による研究の到達点である。それは、こどもに垣間見られる思考やアイデアとしてはじまり、やがては概念結晶として発現する。数学的思考とその学習という主題は、大きな主題であり、特定の視座においては部分的な像しか映せない、容易に全体を描き出せない主題である。対照的に、本書は、読者に大局的な鳥瞰、数学理解の発達に関する総合的で全体的な視野を提供する。

Alan H. Schoenfeld カリフォルニア大学バークレイ校、米国

友人Davidは、数学学習と数学的活動、数学授業とを通じて学習者が当面する、数学に起源する障害に重要かつ意義深い洞察を展開する類まれな研究者の一人である。本書で、彼は、研究者の夢である数学的思考にかかる統一理論を提供する。それは、幼児から大人になるまで、すべての学校段階で遭遇する肯定的ないし否定的な経験を両方とも考慮した理論となっている。その理論によって、数学世界で機能する概念結晶に先立つものとして累積経験が圧縮される様相が示される。

John Mason オープン大学、英国

Tall教授は、日本の授業研究で顕著にみられる問題解決型の学習指導も含めた数学の教授学習過程への様々な指導法に柔軟に応ずる簡潔な用語で、数学概念の発展を解説している。本書を、小学校から大学までのすべての学校段階における教員養成課程の学生・院生、教員に推薦したい。

礒田正美、筑波大学、日本

——————————————————————————————————————————-
本書は、数学的活動の三大要素(文部省1999、礒田正美2014)、1)振り返ることによる絶え間ない知識の再構成、2)数学的認識とその価値の追究、3)数学の発展方法の獲得において、特に1)と2)の実際の様相を、数学三世界を念頭に記したものである。15名の共訳者に感謝したい。
参考文献
文部省(1999).中学校学習指導要領(平成10年12月)解説:数学編.大阪書籍.
礒田正美(2014).算数・数学教育における数学的活動による学習過程の構成:数学化原理と表現世界、微分積分への数量関係・関数領域の指導.共立出版.