Author Archives: kikaku

教員著作紹介コメント(小川 美登里先生)

小川 美登里先生(人文社会系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。

【本の情報】
『落馬する人々』  パスカル・キニャール著 ; 小川美登里訳.水声社 , 2018.5【分類954.9-Q6】

【コメント】著者のパスカル・キニャールは1948年生まれのフランス人作家。本書『落馬する人々』は、彼の晩年のライフワークである連作「最後の王国」の第7巻として2012年に上梓されたました。この奇妙なタイトルに興味を惹かれた人は、一度この書物を手に取ってください。小説やエッセイ、批評など様々なジャンルで活躍し続ける作家が到達した、「伝記とフィクションと哲学的思索があたかもたったひとつの身体であるかのような」表現様式の中で、あなた自身の先入観が溶解していくような体験が待っているはずですから。作家キニャールは古今東西の物語や人文学書の読書体験、つまり「今ここ」をいっとき離れて、別の時代に生きた人々の経験を通じて、「今ここ」に在る自分とは何かを再考し、それを作品という形で提示しています。本書で、作家は「落馬した人々」(現代においては人馬一体ではなくなってしまったのですが)の経験に思いを馳せています。作家モンテーニュやアグリッパ・ドービニエ、詩人ペトラルカ、哲学者アベラールやルソー、ニーチェ・・彼らは皆、落馬がきっかけで人生を新しく生き直すことを余儀なくされました。ですが、キニャールにとってそれは「つまづき」である以上に「チャンス」だったのです。人間にとって、誕生そのものがひとつの落馬体験であると説くキニャールと一緒に、新たな生を見出す可能性を探ってみてはいかがでしょうか。


教員著作紹介コメント(礒田正美先生)

SEAMEO Basic Education Standards (SEA-BES)礒田正美先生(人間系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。

【本の情報】
『SEAMEO basic education standards (SEA-BES) : common core regional learning standards (CCRLS) in mathematics and science』Dominador Dizon Mangao, Nur Jahan Ahmad, Masami Isoda editors, SEAMEO RECSAM, c2017【分類372.2-Ma43】

【コメント】

本書は、東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)理数教育センター(RECSAM)が発行した東南アジア(ASEAN)数学・理科教育課程基準である。2015年、ASEANはOne Vison, One Identity, One CommunityをスローガンにASEAN共同体を発足させ、EU同様に一体として強国化をめざす。そのための教育政策を立案するのがSEAMEOである。新興国と途上国からなるASEANは、加盟各国の宗教、民族などの文化多様性を尊重する。同時に、高質人材の育成、国境を越えた域内人材のモビリティを実現することで、一層の経済成長を実現しようとする。そのためになされるのが、域内教育課程標準化政策である。シンガポールを除くASEAN各国進学校の学力水準は、シンガポールと同等である。課題は各国内で著しく認められる格差にある。格差解消には質の高い教育課程基準を定め、それを教える教師の指導力向上が必要条件となる。そこでは各国毎の教育課程基準と教師教育の改善が求められる。それを議論するにもその現状を示す参照基準(ベンチマーク)がいる。その参照基準として真っ先に編纂されたのが本教育課程基準である。

筑波大学はSEAMEOに対する日本国内唯一の提携機関であり、その窓口は教育開発国際協力研究センターCRICEDである。CRICEDを担う筆者は、その背景から編者の一人としてその編纂に深く携わった。筆者が担ったもう一つの役割は域外研究者との橋渡しである。日本からも国立教育政策研究所関係者や数学・理科教育研究者(含む本学出身者)が動向紹介、校閲に携わった。諸兄の尽力により、その内容は世界水準で研ぎ澄まされた。

話題が逸れるが日本の大学がその国際指標において順位を下げるのは、ASEANを含めた新興国の大学に越されているからである。この時代に挑む学生諸君はもちろんだが、Top100をめざす研究大学RU11の一翼を担う我々もうかうかしてはいられまい。

Imagine the Future、その先をめざそう。


教員著作紹介コメント(小林 秀之先生・米田 宏樹先生)

表紙画像特別支援教育 : 共生社会の実現に向けて(Minervaはじめて学ぶ教職:18)小林 秀之先生(人間系)・米田 宏樹先生(人間系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。

【本の情報】
『特別支援教育 : 共生社会の実現に向けて(Minervaはじめて学ぶ教職:18)』  小林秀之, 米田宏樹, 安藤隆男編著. ミネルヴァ書房 , 2018.3【分類378-Ko12】

【コメント】

タイトルにある「特別支援教育」は,障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず,障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり,我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持つものとされています。さらに,インクルーシブ教育システム構築に向けた体制の整備も進み,障害のある児童生徒の就学は,確実に小学校や中学校,高等学校等に拡大し始めています。
このような状況を受けて,教員を目指す初学者に活用され,特別な教育的ニーズのある児童生徒に対する教育の礎となることを期待して上梓しました。今後我が国で展開されていく「障害はないが特別の教育的ニーズのある幼児児童生徒」に関する事項や特別支援教育制度の中で求められている医療・労働・福祉との連携についても概説しています。初学者のみならず,特別支援教育や障害科学の基礎を改めて確認するためにも目を通して欲しいと願っています。


教員著作紹介コメント(綿抜 豊昭先生)

綿抜 豊昭先生(図書館情報メディア系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。

【本の情報】
『明治の錦絵にみる笑いと風物』  時井真紀, 原澤仁美編集/綿抜豊昭, 時井真紀執筆.筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター , 2018.2【分類721.8-To31】

【コメント】「明治の錦絵にみる笑いと風物」(於・図書館情報学図書館メディアミュージアム、2018/3/19-4/27)の展示図録で、明治150年企画です。明治の笑いは、解説をしなくてはわからないほど、遠いものとなりました。
そこで作成した図録です。展示では、図録見掲載の参考品も出品してますが、こ の図録があれば、明治の笑いの核心がわかります。ご笑覧くださいませ。


教員著作紹介コメント(野津 有司先生)

野津 有司先生(体育系)よりご著書の紹介コメントをいただきました。

【本の情報】
『生徒も教師もわくわくする道徳授業 : 深い学びにつながる22の秘訣 中学校編』  押谷 由夫, 野津 有司, 賞雅 技子監修.東京書籍, 2017【分類375.353-Se19】

【コメント】中学校では平成31(2019)年度から,「特別の教科 道徳」が全面実施されます。これまでの「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」という教科として位置づいたことは,道徳教育の大きな変革と言えます。この教科化を強みとして最大限に生かし,子供たちに道徳的実践力を育成するための授業実践が求められています。
本書は,道徳教育のよりよい実践に向けて,どう考え,どう進めていくべきかについて,教師の疑問に応え得る一冊となっています。中学校の学習指導要領に準拠し,道徳の内容22項目のすべてを網羅し,その実践例を盛り込んでいます。また巻末には,読み物教材も例示しています。
教師を目指す皆さんには,本書から,道徳教育の重要性と授業実践に向けた知識を是非とも学び取ってほしいと思います。