2 紙の誕生と様々な装訂本−中国を舞台に−


[2-16] 巻子本『清明上河圖』 [旧和泉研究室所蔵]



 1巻。宋・張擇端絵。天津人民美術出版社,1991。故宮博物院所蔵品の複製。縦24.8×横幅528cm。 清明節に,先祖の墓参りをすませた後,〓(ベン)河のほとりに出て遊ぶ市民の姿を描いたもの。

[2-17]梵夾装『前後赤壁賦』 [旧和泉研究室所蔵]


 宋・蘇軾撰,明・文徴明書,刻石から拓本をとり,書法の帖つまり法帖仕立てに製本した。 版に石を用いたのは石碑からの原拓と同様の趣を出したいために他ならない。1帖。毎折4行, 行 9または10字。18.3×14.8cm。蘇州の〓石斎が拓印,梵夾装(経折り)に仕立てたもの。

[2-18] 梵夾装『仏教持誦必要』 [旧和泉研究室所蔵]


 お経関係の図書は日本だけではなく中国でもいまなお梵経装によって行われている。その 上,この図書は刊年が仏暦で記されている。浙江省仏教協会,仏暦2527(1983)。排印本。 14.6×7.6cm。無界,巾箱本(小型本)。

[2-19] 旋風装『松島圖』 [旧和泉研究室所蔵]


 谷文晁画,天明丁未(1787)刻。仙台・伊勢とく,昭和3年重印。1冊。23.8×16.0cm。 梵夾装から一歩前進した装訂法である。和書であるが,装訂法の歴史を眺めるために,ここに 展示した。梵夾装のように,紙を糊付けして長い紙を造るのではなく,一枚づつ,印刷した面 を内側に折り,重ねる。接触する裏の部分を糊付けし,裏表表紙に背表紙をつければ,旋風装 となる。