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エッセイ

考える図書館

バーバリッチ・フランク

 このエッセイを書き始めるに当たり、心配なことが二つあります。一つは、私の書く ことが仮説的すぎると思われないか、ということです。もう一つは、このエッセイが 私にとって、日本語で書く最初のものであることです。この下手なエッセイを最後まで 我慢して読んでいただければ、ありがたいと思います。では、辞書を5冊使って頑張り ます。よく言われているように、現在の図書館は非常な早さで変わっています。デジタ ル・メディアの発達で、図書館の使い方も、機能も、随分多様になっています。でも、 図書館の基本的な概念には何の変化もない、と思っています。その現在の概念、 および将来どのような概念の変化が起こるのか考えてみましょう。普通の場合、 図書館に対して倉庫のようなイメージがあります。図書館は本を置くところですし、 たくさん情報が集められていて倉庫のようです。しかし、これは静止した、受け身の 図書館像です。確かに図書館には、「本」に表された「象徴」的なものから多種多様な 「情報」を集め、それを利用するという、色々細かい構造と役割があります。様々な 言語や作家の考え方が明らかにされている「書物」など、そして図書館が集めた カタログ、インデクス、ビブリオグラフィなど、私たちは自由にこの「情報の海」を 航海することができます。しかし、情報にアクセスし、総合し、新しい情報を手に 入れるためには、「人間」が必要です。これからの情報は、自ら動いて、増やし、 オートマチックに情報を処理するようになるのではないでしょうか。その時、図書館は どうなるでしょうか。自分自身で組織する図書館について考えてみましょう。活動する 図書館において、情報は、静止した「象徴」からオートマチックに絶えずつなげて (「リンク」して)いきます。「言葉」(文字・句・文.etc.)はめいめい他の近く 同じ「言葉」とつながります。例えば、「もも」という一組から、「もも」という 一語を含んだ文や本がなどがリンクされます。確かに、こういうリンク・ネットワーク はすぐにどの位大きくなるか見当がつきません。しかも、このリンク・ネットワークの 中はヒエラルキー構造になっています。最初に設定した「言葉」のリンクは、二段目の レベルのリンクにつながっています。そういう段階は速めに高くなります。しかし、 あまり関係ない「言葉」のリンクは低い段階になります。例えば「ももたろう」に ついての本は果物の、「桃」のリンクではあまり上がらないけれど、 「桃についての本」はそのリンクは高い段階に上がります。このような活動を図書館の 外からのアクセスによって行った場合、トップーダウンでは、そのアクセス・キーの 一番目立つ情報が出るでしょう。活動する図書館は、世界と通信することが必要です。 例えば一つずつのキーボードとモニターがあり、キーボードは情報ネットワークが いま一番必要としている高い段階に、モニターはいつもネットワークの現在の一番 高い段階を見せています。ということは、キーボード入力するときは、モニターは その入力された情報を見せてから、その情報に関係がある情報を出します。入力しない 場合は、総合された現在の「話題・問題」をモニターで見ることができます。この エッセイの題名につい。頭脳は基本的に活動して自ら組織している情報システムです。 同じように図書館も考え方を変えれば「考える図書館」になります。(黒古一夫、 星川啓慈両先生に日本語を見ていただきました。誠にありがとございました。)


本学・外国人教師
The Thinking Library, by Frank Berberich