１．５　地域公開と大学図書館ボランティア

筑波大学図書館部情報サービス課長

堀　内　眞　也

１はじめに

筑波大学附属図書館は，開かれた大学図書館として，筑波研究学園都市内の各機関を含む地域社会へのサービスにも充実を図ってきたが，生涯学習の面でも様々な取り組みを実施してきている。

学術審議会学術情報資料分科会学術情報部会の「大学図書館機能の強化・高度化の推進について」（報告）（平成５年）の中でも

「社会における生涯学習ニーズが高まる中で，大学の地域社会への協力や，生涯学習における大学の教育研究機能の活用が求められている。大学図書館においても，公共図書館では提供し得ない高度な学術情報を地域社会や市民へ積極的に公開し，生涯学習活動を支援することが期待されている。各大学図書館が大学及び地域の実情を勘案し，大学における教育研究機能に支障を来さないように配慮しつつ，こうした新たな課題に積極的に対応することが望まれる。」と述べられており

また，生涯学習審議会の答申「地域における生涯学習機会の充実方策について」（平成８年）では

大学等の施設の開放は，図書館･博物館・資料館・グランドなどが主な対象となるが，実情に応じて，多様な施設の開放が可能な限りおこなわれるよう工夫されるべきである。これらの施設を円滑に開放するためには，大学等が地域社会の一員として地域に積極的に貢献していくことが，社会から強く期待されている，との共通認識を学内で確立することが必要である。」と述べられている。

ボランティアは従来，社会福祉の領域の専門用語であったように，その中心は社会福祉活動にあったが，近年ボランティアの活動領域は極めて多様化している。また，ボランティア活動を行う動機も，博愛とか無私の社会奉仕といった精神主義的な動機ばかりではなく，自らも楽しみつつ，生きがいや充実感を得たいという動機が多くなってきているといえる。その意味で近年のボランティア活動は，生涯学習と密接な関わりをもつものが多くなってきているといえる。

このような状況の中で，筑波大学附属図書館における地域公開と大学図書館ボランティアについて紹介する。

２地域公開

（１）筑波研究学園都市の研究機関等に対するサービス

（２）地域住民への直接サービス

（３）所蔵資料の公開展示

（４）電子的手段による情報の公開

（５）図書館ボランティアの受け入れ

３大学図書館におけるボランティアの受け入れ

３．１経緯

（１）受け入れの検討

（２）受け入れ開始

（３）ボランティア数

３．２活動内容

（１）図書館総合案内

（２）身体障害者に対する図書館利用支援

（３）外国人に対する図書館利用支援

（４）利用環境整備

（５）特殊資料整理

（６）図書館公開事業への協力

（７）図書館見学案内

（８）ボランティア活動の広報

３．３活動時間

３．４研修

（１）事前研修

（２）フォローアップ研修

（３）自主的勉強会

３．５運営

（１）運営方針の審議・策定

（２）図書館とボランティアの連絡調整

（３）事務

３．６その他

（１）ボランティア活動保健への加入

（２）図書館利用証の交付

○ 今後の課題

（１）ボランティア活動の範囲，内容

（２）ボランティア・マニュアルの作成・維持

（３）ボランティアと図書館員とのコミュニケーション

（４）ボランティア間のコミュニケーション

（５）学内関係組織との連携

＜参考文献＞

・湯浅冨士夫．地域公開と大学図書館ボランティア

大学図書館職員長期研修講義要綱（平成１１年度） p25-29

・吉田昭．附属図書館の地域公開筑波フォーラム1997;48,p44-48

・図書館ボランティア研究会編「図書館ボランティア」丸善 2000

・佐藤勝則ほか．筑波大学における図書館ボランティアの導入

大学図書館研究 1997;49,p37-45.

・氣谷陽子ほか．筑波大学附属図書館における大学図書館ボランティアの活動

大学図書館研究 1999;53,p54-61