7.16 学術情報リテラシーの実際

京都大学附属図書館総務課長  石井保廣

1.今なぜリテラシー教育が必要か

(1)進む教育改革

   初等中等教育における学習指導要領の改訂

   総理大臣と話そうマルチメディア教室

   情報教育と糸電話

(2)マルチメディアの発展に対応した文教施策の推進

   「マルチメディアを活用した21世紀の高等教育のあり方について」

   「大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化について」(建議)

   情報関連機器の整備とネットワーク環境の充実

   新しいメディアを活用した教育方法の開発と推進

(3)マナー、モラル、プライバシー保護と情報公開

   不正アクセス禁止法案

   ネチケットの向上

(4)通信白書にみる各国の状況

   情報リテラシー日米比較

   諸外国のリテラシー政策

(5)社会の要請

   「情報化の推進に関する提言 _構造改革のツールとして_」

   「創造的な人材の育成に向けて _求められる教育改革と企業の行動_」

2.大学での取り組み状況

(1)新潟大学

   「情報検索とその活用」

   授業科目への最初の取り組み

(2)金沢大学

   「大学図書館と図書資料に親しむ」

   見学あり、講義ありで盛りだくさんの内容

(3)岡山大学

   「学術情報の検索と活用(図書館を利用する)」

   総合科目として実習を中心に図書館が支援

(4)京都大学

   「情報探索入門」

   総長をはじめとする6名の教官と15名の図書館員による演習支援体制

(5)その他の大学

3.京都大学でのリテラシー活動の実際

3.1 オリエンテーション

(1)新入生のための図書館利用オリエンテーション

   来て! 見て! 使って!「新入生歓迎オリエンテーション」

   昼休みにどうぞ、オプションで実習も用意

(2)レポート・論文作成のための文献収集講座

   効果的情報の収集と評価、全学共通科目へシフト?

(3)留学生のためのオリエンテーション

   日本語のできる人コース、日本語に不慣れな人コース

3.2 全学共通科目「情報探索入門」

(1)取り組みに至るまで

   教養部の改組と全学共通科目

(2)“Access.txt _文献調査・利用ガイド_”

   レファレンス事例の蓄積

(3)教官と職員の支援体制

(4)授業風景

   満員御礼

   授業日程

   受講者の構成

(5)“大学生と「情報の活用」 _情報探索入門_”

   教科書の出版

(6)レポート試験の問題

   複数の手段による情報検索のプロセス

   所在情報の明示

   作成した参考文献から論文紹介

   紹介文献の語句、事柄から参考資料の調査

(7)評価方式

(8)受講者の反応

(9)支援職員の感想

4.図書館にとっての情報リテラシー教育

(1)図書館職員の再教育と資質の向上

(2)利用者と図書館(職員)との相互信頼の向上

(3)図書館職員のやりがい・満足感と意欲の向上

(4)図書館への理解と支援

5.今後の課題

(1)情報リテラシー教育と図書館職員のかかわり

(2)高リテラシー者、低リテラシー者の格差とその対応

(3)ユーザーの資質向上に対応した教育

(4)講義室環境の整備

(5)全学共通科目から全国共通科目へ

(6)ネチケットの再認識にむけて

参考文献

1)長尾 真:京都大学附属図書館における電子図書館計画,学術月報,Vol. 50 No. 3,1997,

  pp. 219-225

2)慈道佐代子:全学共通科目「情報探索入門」の試み _図書館の役割について_,大学

  図書館研究,No.54,1998,pp. 43-54

3)川崎良孝 編:大学生と「情報の活用」 _情報探索入門_,京都大学図書館情報学研究

  会(発行:日本図書館協会),1999

4)「情報検索とその活用」講義担当グループ:教養科目「情報検索とその活用」の講義実

  践報告,大学教育研究年報/新潟大学大学教育開発研究センター,第3号(平成9年6

  月),pp. 86-93

5)郵政省:通信白書,www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/papers