7.11  電子図書館システムの実際

                筑波大学図書館部情報システム課長  小西 和信


1 はじめに〜大学図書館と「電子図書館」〜
 ・大学図書館政策の流れ
   昭和55年学術審議会答申「今後における学術情報システムの在り方について」から、
   平成8年建議「大学図書館における電子図書館的機能の強化・充実について」まで
 ・大学で「電子図書館」はどう受け止められたか

2 筑波大学における電子図書館への取り組みの経緯
 1991
  評議会の下に図書館電子化推進専門委員会及び電子図書館システム研究班設置
  第I期電子図書館整備計画(’92〜’94)
 1994
  第II期電子図書館整備計画(’95〜’97)
  図書館に電子化推進特別委員会設置
 1997
  「高度発信型電子図書館システムの考え方」公表
  「筑波大学電子図書館システムにおける著作権処理について」策定
 1998
  高度発信型電子図書館システム稼働
  電子図書館専門委員会設置

3 筑波大学電子図書館の特徴〜「 筑波大学電子図書館概念図」〜
 ・従来の個別電子情報サービスを相互参照可能とするハイパーリンク機能
 ・学内研究情報の「 発信」機能
 ・入力データの登録制度(著作権処理を含む)
 ・事務管理・運用体制の整備

4 筑波大学電子図書館の構成内容と登録状況
(1)学内蔵書検索
  ・オンライン蔵書目録(OPAC)
  ・主要文庫・コレクション目録
  ・雑誌所蔵リスト
  ・電子図書リスト
  ・新着図書リスト 他
(2)学術論文情報データベース
  ・本学紀要目次情報
  ・市販2次情報CD−ROM(+CD−ROM統合検索)
  ・レファレンス情報 他
(3)全文データベース
  ・筑波大学生産資料(研究成果報告、学位論文、紀要、学事報告書 他)
  ・筑波大学収集資料(貴重図書等 他)
  ・オンライン・ジャーナル 他
(4)学外蔵書検索・リンク集
  ・世界の図書館(自主作成)
  ・筑波大学ホームページリンク
  ・サーチエンジン 他
(5)附属図書館案内
  ・お知らせ
  ・図書館概要
  ・利用案内
  ・電子展示会 他
(6)教育研究情報
  ・筑波大学研究者総覧
  ・シラバス 他

5 筑波大学電子図書館システム構成
 ・原文データベースサーバシステム( 画像蓄積サーバ、全文蓄積・検索サーバ)
 ・CD−ROMデータベース統合検索システム
 ・ビデオサーバシステム
 ・データ入力・編集システム
 ・利用者用コンピュータシステム

6  筑波大学電子図書館システムにおける著作権処理
(1)基本的な考え方
 ・著作物の利用に当たって、著作権の譲渡を受けるのではなく、著作権者からの利用許諾を得
    る方法を採用した。
(2)利用許諾の獲得方法
 ・許諾の条件や手続きを定める一括規定の制定→「筑波大学電子図書館システムへの登録に関
  する実施要項」(学内規定)
 ・著作権者本人から「申請書」を提出・・・申請者に著作権処理を委ねる
 ・公開の程度(送信範囲、ディジタル化の範囲等)は、申請者が選択可能
(3)「筑波大学電子図書館システムへの登録に関する実施要項」(平9.12.1  館長裁定)
 ・データの利用条件(第5項〜第9項)
    「5  附属図書館はデータの利用に際し、次の事項を遵守する。(1) 情報の発生元を明示す
    ること。(2) 著作物及びその標題の表現を改変しないこと。(3) 著作者及び著作権の表示を
    行うこと。(4) 電子図書館の利用者によるデータの複製(端末機からのプリントアウト、ダ
    ウンロード等)は、調査・研究、教育又は学習を目的とする場合に限定することを明示する
  こと。」
 ・著作物の利用許諾等(第12項〜第15項)
   「12  申請者は、附属図書館に対し、第10項の申請書において著作権法上の諸権利につい
    て著作物の利用を認める。具体的な利用許諾の要件については、申請書の中で個別に規定す
    る。」
   「13  申請者と著作権者が異なる場合は、申請者は著作権者からの利用許諾を得た上で申
  請する(著作権者が複数の場合、当該著作物に申請者以外の者が開発したコンピュータ・プ
  ログラムが含まれる場合等)。」
   「14  当該著作物の利用に際して第三者との紛争が生じることのないよう、申請者はあら
    かじめ関係者との調整等を行った上で申請する(当該著作物が既に他の出版者から公表され
  ている場合等)。」
   「15  紀要等においては、掲載する著作物の利用許諾に関する事項を投稿規定等に明記す
  るなど、必要な措置を経た上で申請する。」

7 電子図書館サービスの運用
 ・「WWWによる筑波大学電子図書館サービスの事務管理・運用体制について」(平10.1.21
   図書館部長裁定)の制定・・・館内ネットニュースのニュースグループで協議
 ・「電子図書館への資料の登録手順について」(平10.3.16 図書館部長裁定)の制定
   ・・・受入れからデータ作成までの手順と担当係を定める

8 今後の課題
 ・コンテンツの充実
 ・データ作成工程の効率化
 ・電子図書館システムの高度化
 ・広報の強化 他