沖縄の歴史情報 第2巻


利用案内

 このCD-ROMには、重点領域研究「沖縄の歴史情報研究」が課題とした琉球・沖縄の歴史研究と環シナ海域地域間交流史に関する各種研究文献情報ならびに史料所在情報のデータベースが収められている。
 歴史研究は、過去の研究成果の蓄積のうえに築かれる。たとえそれが研究史のうえに僅かな知見を加えるものでしかなかったとしても、一つ一つの研究の積み重ねの上に新たな研究が成り立つものであり、過去の研究業績が正当に位置付けられなければならない。ともすると古い研究業績は、膨大な研究業績の集積のなかに埋もれがちであるが、コンピュータの持つ大量のデータを迅速に処理しうる能力によって、古い時期の、また些細な業績であってもこれをきちんと把握することができるようになった。琉球・沖縄史に関する研究文献情報データベースの作成は、本領域研究の、重要な柱である。
 研究文献情報データベースを作成する場合、本来であれば著書・論文等の一つひとつについてカードを起こし、データベースを作成しなければならないが、限られた研究期間のなかで、しかも限られた労力で作業効率をあげざるを得ない状況のもとでは、まず刊行された既存の文献目録類をもとにデータ入力を行ない、これを集成する方法が効果的ではないかと考えた。しかし既存の文献目録類は、そのデータの項目の採り方が一様ではなく、じつに様々に分かれており、これをひとつの基準で統合することはほとんど困難である。むしろ研究者にとっては、それぞれの文献目録のあるがままを電算化してそれぞれの特性に応じての使い方を考え、それとは別個に全体のデータを統合したデータベースを作成することのほうが合理的ではないか、と思われる。そのため本領域研究の現段階では、まず統合したデータベースを作成するための素材として、これらの文献目録の電算化を進め、これはこれで利用し、しかる後に全体を統合したデータベースの構築をはかることにした。そのような意味で、ここに収められた「琉球・沖縄史関係研究文献情報データベース」は、未だ作成途上の中間段階にあることをお断りしておきたい。われわれがデータベースとして入力した目録類は、いずれも先人たちの努力の貴重な成果である。利用させていただいた目録類の書名を以下に記して感謝の意を表したい。
  (1)沖縄県立沖縄図書館「郷土志料目録」(昭和4年)
  (2)国立国会図書館支部上野図書館(編)『琉球文献目録稿』(昭和27年)
  (3)成城大学民俗学研究室(編・刊)『南島文献資料目録T』(昭和34年)
  (4)George H.Kerr(編)、琉球大学発行『琉球文献目録』(『BIBLIOGRAPHY OF THE RYUKYUS』1962年)
  (5)大城宗清(編)『<琉球政府立法院図書室>戦後沖縄の文献解題−1961年3月31日現在−』(1961年)
  (6)九学会連合沖縄調査委員会(編)『沖縄研究文献・資料目録抄』第T分冊(1971年)
  (7)友寄英一郎(編)『琉球関係考古学文献目録』(1962年)
  (8)琉球大学付属図書館(編)『<琉球大学付属図書館>琉球郷土資料目録』(改訂増補版、1965年)
  (9)玉城盛松(編)「沖縄関係文献目録−1971.1〜1972.末現在−」(沖縄歴史研究会編『沖縄歴史研究』第10号、1973年)
  (10)「沖縄歴史研究既刊論文目録(創刊号〜第10号)」(沖縄歴史研究会『沖縄歴史研究』第10号、1973年)
  (11)琉球大学付属図書館(編刊)『沖縄関係雑誌記事索引(人文・社会編)』(1974年)
  (12)琉球政府立沖縄史料編集所(編刊)[沖縄関係文献目録](1972年)
  (13)沖縄図書館協会(編)『沖縄県郷土資料総合目録』(1973年)
  (14)沖縄県立図書館(編刊)「山下文庫蔵書目録」(『沖縄県立図書館要覧 1976年度』1977年)
  (15)那覇市立図書館所蔵「沖縄関係和漢書目録」(那覇市立図書館『館報・77』1978年)
  (16)那覇市立図書館所蔵山田文庫目録(那覇市立図書館(編・刊)『館報・77』(1978年)
  (17)琉球大学付属図書館(編)『学内出版物論文総覧』(1977年)
  (18)石垣市市史編集室(編)『八重山関係文献目録−昭和58年12月末−』(1984年)
  (19)沖縄県沖縄史料編集所(編)『沖縄史料編集所紀要』
  (20)新城安善(編著)『沖縄書誌総覧−沖縄書誌の書誌−』(沖縄県図書館協会発行、1991年)
  (21)九学会連合奄美調査団(編)『奄美地域文献目録』(孔版)
  (22)鹿児島県立図書館奄美分館(編刊)『郷土資料目録』(昭和55年)
  (23)鹿児島経済大学地域総合研究所(編刊)『奄美関係蔵書目録』(1990年)
  (24)入佐一俊(編)『奄美関係資料目録』(財団法人奄美文化財団発行、平成6年)

 歴史研究は史料に依拠して進められる。沖縄の歴史研究に関する史料が、どこに、どのようなものがあるかの情報を把握することは、きわめて重要である。われわれは史料の所在に関する各種の情報を研究者それぞれの努力の結果として経験的に蓄積してきているが、これはなかなか公開されにくい性格のものである。史料所在情報データベースが期待される所以でもある。このような観点から、本領域研究では各種の史料所在情報を統合的に把握するためのデータベースの作成に留意し、既存史料所蔵機関の目録類の点検を行なうかたわら、本領域研究の一環として行なわれた史料調査・収集活動によって各種の史料目録を作成した。また東京大学史料編纂所では本領域研究の一環として同所所蔵の島津家文書・島津家本の写真撮影と新規の目録作成が行なわれた。研究分担者であった中村質氏(九州大学名誉教授、平成10年3月1日に急逝)のご尽力で、長崎県立図書館所蔵環シナ海域交流関係史料や平戸松浦史料博物館所蔵「新出奉書・御内書仮目録」が作成されたことも本領域研究の成果として注目されるところである。既存の各種史料群のなかから必要な情報を抽出して、特定主題によるデータベースとして統合する作業も進められた。また沖縄県教育委員会『古文書等緊急調査報告書』(沖縄県教育委員会文化課編、昭和51年)や那覇市史編集室編「家譜目録」など公刊された史料目録等も同様にデータベース化して統合的な利用を可能ならしめた。CD-ROM版研究成果報告書のこの巻には、これら各種の史料情報が、研究文献情報データベースとともに格納されている。
 本巻では、これら各種の研究文献情報データベース、史料所在情報データベースを便宜上以下の4群に区分して格納してある。
  1. 琉球・沖縄史研究文献情報
  2. 琉球・沖縄関係史料情報
  3. 奄美関係文献情報
  4. 環シナ海域交流史料情報
 しかし、これらの区分けは、必ずしも厳密な区分というわけではない。また容量の関係からCD-ROM版研究成果報告書では作成したデータファイルを10枚に分けて格納しており、「歴代宝案」「使琉球録」など主題別に分割格納したものも少なくない。併せて参照されたい。


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 本CD-ROMの編集は、領域研究に参加した各研究班から提出された各種の情報化資料をもとに、岩崎宏之、桶谷猪久夫、勝村哲也、柴山守の4名が担当しました。


編集代表者:岩崎 宏之             
発 行 者:岩崎 宏之               
発 行 所:文部省科学研究費補助金         
     重点領域研究「沖縄の歴史情報研究」総括班
事 務 局:郵便番号305−8577 つくば市天王台1−1−1
     筑波大学歴史人類学系(気付)       


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