本学所蔵主要個人文庫


 日高文庫

 高等師範学校教授日高真実の旧蔵書1,234 点から成るコレクション。明治29(1896)年5月受入。『日高文庫設立顛末』と題する冊子が現存している。日高教授はドイツ留学中に多数の書物を集めていたが帰国後わずか2年で亡くなったので、教授を記念するためこれらの書物を文庫とすることとなり、義捐金を募って文庫を設立した。この義捐金の拠出者には嘉納治五郎、夏目金之助(漱石)、北里柴三郎等447名の著名な学者が名をつらねている。

 林文庫

 東京高等師範学校教授林泰輔の旧蔵書1,903 点から成るコレクション。大正11(1922)年12月受入。林文庫は、ほとんどが我が国で書写された漢籍と和刻の漢籍であるが、元亀写本の論語集注ほか貴重なものが少なくない。

 三宅文庫

 東京文理科大学学長三宅米吉の旧蔵書5,043 点から成るコレクション。昭和9(1934)年3月受入。三宅文庫は内容が多岐にわたるが歴史学関係を中心に稀覯書も数多く含んでいる。

 宮木文庫

 東京・滝野川の寿徳寺の住職宮木宥弌旧蔵書5,722 点から成るコレクション。昭和13(1938)年7月受入。宮木宥弌は僧侶としての本務のかたわら明治維新前後からの寺子屋や学校の教科書類を収集し、その総数は2万冊以上にのぼったという。そして、東京文理科大学教授であった乙竹岩造の勧めにより、文理科大にその蔵書の一部(教科書類)を寄贈したもので文理科大はこの宮木文庫を基礎として教育文庫を設けた。

 岡倉文庫

 東京高等師範学校教授岡倉由三郎の旧蔵書2,417 点から成るコレクション。昭和15(1940)年9月受入。岡倉教授の兄は美術界の先覚者、岡倉天心である。岡倉文庫の内容は英語・ラテン語・朝鮮語・英文学等、多くの分野にまたがっており稀書も多いが、特に幕末から明治初年にかけての英・独・仏・蘭語の学習書や辞典は貴重である。

 穂積文庫

 明治・大正期における法律学の泰斗であり我が国近代法の立法過程に深く関わった穂積陳重とその長男で東京帝国大学教授であった穂積重遠の旧蔵書4,023 点から成るコレクション。昭和27(1952)年3月受入。本文庫は昭和20年代の終わり頃、穂積家から学界に提供された穂積家関係資料の一部であり、東京教育大学文学部の稲田正次教授が科学研究費で購入したもの。この穂積家関係資料は、筑波大の他、東京大学法学部研究室にも保管されている。

 乙竹文庫

 東京文理科大学教授乙竹岩造の旧蔵書1,457 点から成るコレクション。昭和30(1955)年2月受入。本文庫は、乙竹教授が主著『日本庶民教育史』の資料として収集したもので、往来物を中心に女子用教科書や教育史関係資料等を含んでいる。本文庫の目録として、昭和30年5月に、唐沢富太郎教授が中心となって『乙竹文庫目録』を刊行している。

 コメニウス文庫

 東京教育大学教授梅根悟が教育大退官記念に寄贈したコメニウスに関する資料236 点から成るコレクション。梅根教授が個人的に学生時代から収集してきたものと、教育大教授として公費で購入したものの双方を含んでおり、昭和42(1967)年6月受入。コメニウス関係のコレクションとしては世界的にも有数のものである。

 ポルフィリオ・ディアスコレクション

 メキシコ大統領ポルフィリオ・ディアスの旧蔵書486 点から成り昭和57(1982)年度に大型コレクションとして購入。ディアスは1877年から1911年までの35年間にわたって、大統領として、あるいは影の実力者としてメキシコを支配したが、1911年に革命で大統領を辞任しフランスに亡命した。本コレクションは、ディアスが亡命の際に官邸に残していった図書や公文書、及び後に参考資料として加えられた文献から成っている。