其の二十二 三綱僧(さんごうそう) 1人

「めくみのたひ路」には「色衣の法師」とあります。素襖1人・白張4人をともなう三綱僧は,日光山の一坊(いちぼう)が勤める役です。一坊は日光山の修験道(しゅげんどう)の担い手,すなわち日光修験(山伏)です。近世日光山には80の坊がありましたが,日光山の運営の中心にいた衆徒(しゅと)よりも下層に位置づけられていました。しかし,東照宮祭礼で三綱僧を勤めるさいには,「一時僧正(いちじそうじょう)」(「日光御社参図誌」巻3),つまり身分を超えて臨時の僧正とされ,金襴の衣に五条袈裟をかけた官僧の装いで馬に乗って出仕しました。明治の神仏分離後に消滅し,現在は見ることのできない役の一つです。(10月26日公開)