其の十六 職士鉾持(しょくじほこもち) 1人

神輿渡御の行列の先頭は,鉢石・御幸・石屋・松原・稲荷5か町の町人の御役である兵士鉾持(ひょうじほこもち)50人です(4月御祭礼では100人)。その後に続く,天狗の面を着けた日光山の神人(じにん)の役で,猿田彦命(さるたひこのみこと)とも呼ばれます。「其の十九」までの御役を勤める神人は,日光神領の村々に暮らしつつ日光山の神々に奉仕する下級神職で,近世には76人存在しました。京都の祇園祭では,巨大かつ壮麗な山鉾が,疫病を引き起こす疫神や怨霊を遷却(せんきゃく),すなわちなぐさめて送り出すために神輿の渡御に先行して道筋を進みますが,同様の呪力が期待された御役と考えられます。(10月20日公開)