其の十三 御本社神輿(ごほんしゃみこし) 1基

神輿渡御の主役である本社,すなわち東照大権現の神輿です。屋根上の鳳凰など,金銀の装飾がまばゆく輝きます。

4月御祭礼では,ともに東照三所権現(とうしょうさんじょごんげん)を構成する東照宮の配神である山王権現(さんのうごんげん)・摩多羅神(またらしん)の2基の神輿が続きますが,9月御祭礼では,東照大権現の1基のみが出座します。担ぎ手は日光神領の村々からやってきた白張姿の百姓65人で,周囲を熨斗目(のしめ)・上下(かみしも)を着た町人20人が警固します。『日光御社参図誌』巻中(巻之3)には,「拝見のもの散銭(=賽銭)をな(投)くる事,雨の如し」とあり,江戸時代から,神輿に向かって行列の見学者がさい銭を投げ込んでいたことがわかります。同書には,この担ぎ手が銭を拾おうと肩をはずして神輿が傾くことを恐れ,警固が多数ついているのだ,と説明されています。

3基の神輿は通常,陽明門の北西にある神輿舎に納められています。ただし,現在,神輿は軽量化された模造品が使用されおり,本来の神輿は日光東照宮宝物館に保管されています)。(10月15日公開)