其の十 猿面(子供猿,さるめん・こどもざる) 15人

門前町の子どもが扮します。「日光御社参図誌」巻中(巻之3)には,10歳前後の子どもが鼠色の木綿の頭巾(ずきん)・筒袖(つつそで)・股引(ももひき)姿で,首に同じ色の袋をかけ,面を腰に下げた役であると説明されています。絵巻物には1人だけ,猩々緋(しょうじょうひ)の羽織を着た童子役も見えます。同書にはまた,拝見する諸人が左右から投げ込んだ銭を猿面の子どもたちが争って拾い,袋に入れる,つまり,拾った子どものお小遣いにすることが許されているとあります。この絵巻物には,その説明通り,おひねりを拾うようすが描かれています。おひねりを他の人が拾うことは禁じられていました。なお,この後ろには,本物の猿を連れた猿牽(其の二十五で公開予定)が続きます。なお,子供猿は現在,神輿の後に供奉していますが,神輿に投げ込まれる賽銭(さいせん)を絵巻物と同じように拾う姿を見ることができます。(10月14日公開)