日高文庫設立について
日高真実
「筑波大学図書館史」(017.713-Ts66 筑波大学附属図書館, 1989年)から抜粋
p.19-20
また、明治29年5月には、高等師範学校教授日高真実の旧蔵書1,234冊を日高文庫
として受け入れた。こちらには、「日高文庫設立顛末」と題する冊子が今も
伝えられており、設立の経緯が詳しく判明する。それによると、日高真実は
元治元(1865)年、日向高鍋に生まれ、東京大学卒業後明治21年に教育学専修の
ためベルリンに留学、3年余りの勉学の後、25年春に帰国し、高等師範学校教授
兼文科大学教授となり教育学を担当していたが、27年に亡くなった。日高教授は
ドイツ留学中、原価にして千円余といわれる多数の書物を求めていたが、教授を
記念するためには、この書物に勝るものはないということで、義捐金を募って
日高文庫が設立された。この発起人は、伊東祐徳他31名にのぼり、義捐金八百円
を得て、目録の印刷等の必要経費を除いた七三九円八二銭を遺族に贈与している。
義捐金の拠出者には、嘉納治五郎、田中館愛橘、夏目金之助(漱石)、井上円了、
北里柴三郎、狩野亨吉等447名もの著名な学者が名をつらねている。日高文庫は
その冊数も多く、また、留学中の収集ということで、日本では入手しにくい本
も収集されており、現在では貴重書扱いとなっている本も百冊以上に及んでいる。
この「福富文庫」、「日高文庫」から始まる個人名を冠した文庫は、この後、
南摩綱紀、林泰輔、三宅米吉、岡倉由三郎、宮木宥弌(ゆういつ)、穂積陳重、
乙竹岩造、コメニウス等と続き、特色ある収書により図書館の蔵書の内容を
豊かにしていった。
『日高文庫設立顛末』
「日高文庫設立顛末」は本学関係資料室のキャビネットの中に保管しています。(キャビネットno.4 ホ000-701 帙入)ご利用の際は、中央図書館レファレンスデスクにお申し出ください。
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Last updated: 2006/10/12