師範学校で制作した単語図、連語図等の教材を編み、文部省が刊行。明治6年に『小学教授書』として刊行され、翌7年に『小学入門』(甲号)と改められ、さらに文字や絵を縮小して明治8年に同(乙号)が刊行された。
全4巻のうち巻1、巻2はアメリカのウィルソン・リーダー(2-3)の翻訳。当時最も普及した初等教育読本。「凡地球上の人種は、五に分れたり…」の書き出しは、小学校で最初に学ぶ文章として有名になった。明治6年初版、7年改正版刊行。
上記(2-2)の原本となったアメリカの教科書。
和装本13丁の短い内容ながら、挿絵を効果的に使って地理の基本概念を解説。近代的な地理の入門書として普及した。明治6年文部省刊。7年改正版、8年再改正版刊。
日本の地理について8道84国にわたり解説。山や河川についての記述が大半を占め、都市や産業については簡略に触れる。明治7年改正版刊。
英米の地理教科書に倣い、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカの6地区からなり、各国別に地理を解説。6篇3冊。明治7年刊。
第1巻皇国と第2巻支那は木村正辞、第3巻第4巻西洋は内田正雄が編集。日本は神代に始まる天皇歴代史、支那は皇帝歴代史、西洋は時代別各国史になっている。明治初年を代表する官版の歴史教科書。明治5年文部省刊行。これを改め、下記の「日本略史」や「万国史略」が編まれた。
「史略」(2-7)の第1巻皇国を大幅に増補改訂したもの。内容は神武天皇に始まる天皇歴代史。2巻2冊、明治8年刊。
「史略」(2-7)の第2巻支那と3,4巻西洋を増補改訂したもの。西洋篇はアジア、ヨーロッパ、アメリカに分けて記述。2巻2冊、明治7年刊。
明治11年に師範学校が刊行した「日本史要」の草稿。草稿(13冊)と成稿(2冊)と試刷(1冊)の3種に大別される。草稿は神武天皇(第1代)から孝明天皇(第121代)にいたる天皇歴代史。成稿では神武天皇から文徳天皇(第56代)までとなり、刊本もこれに従う。草稿の第1冊には「史略」の書名があるが、脇に「是ノ名モ御考下サレタシ」と朱書があり、その上に糊付けされた別の草稿には「日本略記」の名称がある。成稿の第1冊には「日本略記」の書名が受け継がれるが、朱で「日本史要」と改められ、以降、これが書名となる。いずれの稿本にも、度重なる推敲の跡が見られ、教科書編纂草創期の苦労が偲ばれる。
上記の草稿(2-10)の刊本。神武天皇(第1代)から文徳天皇(第56代)にいたる天皇歴代史。帝紀を細字で記した後、本文で在世中の出来事を列記する。明治11年刊。
1巻は加算、2巻は減算、3巻は乗算、4巻は除算および諸等数、5巻は分数を扱う。生徒の発達段階に応じ編まれており、内容も分かりやすい。算数に限らず、明治初年を代表する近代的な教科書。1巻から4巻までは明治6年、5巻のみ明治9年刊。
明治7年刊。
師範学校における実際の授業に基づいて編まれた小学教則。文部省で編んだ「小学教則」(1-3)に比べ、より具体的で実用的な内容になっている。初版は明治6年刊。
学制の発布にともない全国に誕生した教師のために、教壇での授業から日常生活の心得まで、箇条書きで記したもの。明治6年刊。
起床に始まり登校時の注意、教室内での作法、書物の取扱など、17条にわたって記載。今日の生徒手帳の基となったわが国で始めての生徒心得。明治6年刊。
当時の師範学校長諸葛信澄による教授法の概説書。下等小学8級から5級までの授業法を教科別に述べる。初版は明治6年刊。補正版明治8年刊。
東京師範学校附属小学校の地理の授業のために、学校周辺の東京の地理について教授法を示したもの。明治14年筆。
E.A.シェルドン(Sheldon)の Lessons on Objects の翻訳。シェルドンはニューヨーク州のオスウィーゴ師範学校の創立者で、ペスタロッチ主義の教育改革いわゆるオスウィーゴ運動を進めたアメリカの教育学者。明治11-12年文部省刊。
James Johonnot、Principles and Practice of Teaching (1878)の翻訳。明治8年からオスウィーゴ師範学校に学んだ高嶺秀夫は、帰国後、東京師範学校の教員となってペスタロッチ主義の教育思想を我が国に伝えた。明治17年刊。
明治10年代、ペスタロッチの教育思想に基づく、生徒の自発性を重視する開発教育は、師範学校を中心に全国に広まりブームとなった。明治16年刊。続編明治17年刊。