〔浮力〕

(宮へ950-197),(宮へ950-204)

浮力の図
人の体(からだ)は水より軽(かろ)き物なる故水に入れば

自浮(おのつからうか)ふものなれども其頭原来重(かしらもとよりおも)

故に誤(あやまり)て水に落入(おちいり)たる時頻(しきり )に頭を

水上(みつのうへ)へ出(いだ)さんとすれば頭いよいよ重く

なり全身(ぜんしん)沈むに至るかゝる時は精(せい)

(しん)を鎮(しづ)め仰向(あふのき)になり頸窩(うなじ)を水に

(ひた)すように為べし顔(かほ)七八分(ふ)は沈とい

へ共目鼻(はな)口は水上に出べし若周章(あわて)

て索空(くうをつかむ)さまをなす時は反(かへ)りて水(みな)底へ

沈む也獣(けもの)の類(たぐひ)は頭軽き者ゆゑ水面(すいめん)

に頭を出して能泳(よくおよ)ぎ水鳥(みつどり)は身

体軽きのみならず水に潤(うるほ)はざる

(はね)あるゆゑに浮嚢(うきぶくろ)を着けたる

と同理なり

空瓢

を附

たるも

よし

西洋の

トクリの

口にして

キルクを

多く糸に

繋き

たすきに

するなり

浮嚢(うきくつ)とは

皮の袋(ふくろ)又布(ぬの)

ゴムを引空気(ひきくうき)

を十分に入れ

膨張(ふくら)

て体(からだ)

巻附る

なり



次のページへ
文部省発行教育錦絵のページに戻る
Last updated: 2012/07/23