〔禽学者奥度棒 (Audubon,John James 禽鳥画)〕

(376-Mo31),(宮へ950-194)

禽学者奥度棒の図
合衆国有名の禽学者奥度棒(あうどをぼん)ある時

旅行しけるに多年思慮を殫(つく)して摸写(うつし)せる

粉本(たねほん)を箱に入親戚に托し置き数月にして

家に帰り箱を開き見れば鼠其内に巣

くひ画図は悉く囓れて砕片となれり

奥度棒(あうとをほん)は是を見て大に心を傷ましめ

数日の間恍惚(さとほくるる)として失念せる者の如し

既にして又旧の如く小銃を手にし記簿(てちやう)鉛筆(せきひつ)

携へ林に入て禽鳥を捕へ其形状を摸写(ゑがき)せしが三年に

至らずして画又箱に満ち摸写(うつし)も前時より更に好きを覚えしとそ



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