ご挨拶
附属図書館長 ご挨拶
筑波大学は、明治5年に創設された師範学校に始まり、東京高等師範学校等を経て、戦後開学された東京教育大学を前身校として昭和48年に開学しました。本学は、近代日本の黎明となった明治前半期より、およそ150年にわたる教育・研究の歴史を有しております。
筑波大学附属図書館では、平成7年度の中央図書館新館竣工の際に貴重書展示室が設置されて以来、学内組織の協力を得つつ、本学が開学以来所蔵する貴重資料などを広く公開する展示事業を行ってきました。
一昨年度は、「歴史家 二宮宏之の書棚」と題した歴史家の旧蔵書を展示し、昨年度は、「江戸の遊び心-歌川国貞の描く源氏物語の世界-」と題した源氏絵を中心とした展示を行うなど、毎年様々なテーマで特別展を開催し、好評を博しています。
今年も、人文社会系山澤学准教授の指導のもと、附属図書館と人文社会系との共催により、「グローバルに挑む群像-幕末から明治へ-」と題して、幕末・維新期から明治前半期の貴重資料を中心に特別展を開催することといたしました。
第1部では、師範学校創設の地となった昌平坂学問所に残されていた条約交渉に関する資料と儒者について、第2部では、開国による動乱の時代を生きた人びとを、「幕末関係記録」や「長州藩士記録」を中心に取り上げています。そして第3部では、明治初期の名著を紹介いたします。各部での展示資料は、附属図書館所蔵資料から厳選した貴重な資料であり、これまで未紹介の資料も多く含まれます。
附属図書館特別展は、本学に蓄積された豊かな「知」を積極的に内外に向けて発信するという附属図書館の取り組みの一つでありますが、今回の特別展は、「明治150年」を記念する、本学における取り組みの一つでもあります。貴重書展示室での資料展示に加え、特別展オフィシャルWebサイトから電子展示の公開も行っています。幕末・維新期から明治前半期の世の中の動きなど、展示される資料を是非とも多くの方々にご高覧頂き、新たな世界を発見される機会として頂くことを期待いたします。
平成30年 秋
附属図書館長 阿部 豊
人文社会系長 ご挨拶
このたび、私ども人文社会系との共催により平成30年度筑波大学附属図書館特別展「グローバルに挑む群像―幕末から明治へ―」が開催される運びとなりました。この特別展は、附属図書館が所蔵する多くの貴重な資料から厳選し、日本近代の始まりとなった幕末・維新期から明治前半期を中心に、グローバルな世界に挑戦した人々の姿を紹介するものです。
人文社会系は、人文・社会科学の多領域にわたる基盤的な知と領域横断的な思考をもって、現代世界の諸問題に取り組む教育研究を推進しています。各領域での確かな基盤的研究において学界の最前線に立つ一方、伝統的な領域を超え、柔軟な思考のもと、先端的な新規学問領域を開拓し、現代の社会的要請に応えうる知の発信を進めております。
私たちは本年、日本近代の画期として象徴的な明治元年(1868)から150年を迎えました。本特別展は、人文社会系における日ごろの研究成果の一つとして、学界のみならず社会に貢献するべく世界に向けて発信するものですが、本学における明治150年を記念する事業にも位置づけられております。
図録中でも述べられているように、日本の近代とは、政治・社会・経済・文化などさまざまな分野においてグローバルな世界に関わり、挑み続けてきた時代ですが、本学もまた、師範学校に始まる前身校以来、かかる時代を共に歩んできました。附属図書館にはその間に収集された数多くの文献資料が所蔵されていますが、学術的に再評価されるべきものが少なくありません。今回の特別展は、歴史学・文学を専門とする教員3名によって専門領域を横断して企画され、日ごろの基礎的研究を通じて新たな評価がなされた数多くの資料が展示されます。本特別展を通じ、幕末から明治を生きた日本人がグローバルな世界へいかに挑戦してきたのか、またその背景にはいかに豊富な教養の世界があったかが実感されるでしょう。彼らの生きた時代を学ぶことで、現代を生きる私たちに新時代を切り拓くためのヒントを与えてくれる機会にもなるでしょう。
特別展「グローバルに挑む群像―幕末から明治へ―」への多数のご来駕をお待ち申しております。
最後になりましたが、本特別展の開催にあたり、ご支援・ご協力をいただきました学内・学外の皆さまに厚くお礼申し上げます。
平成30年 秋
人文社会系長 青木 三郎